2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

リチャード・ニクソンの愛

「マリファナを巻いた1本のジョイントは、1杯のウィスキーよりも1000倍いいね。リラックスできるし、頭の中でアイディアがクリアーになってくるのさ」 ・・・と語ったサッチモことルイ・アームストロングは、毎日ハーブでキメていたマリファナ愛好家で、ハー…

乱れ雲

目を伏せ、見上げ、睨み、顔を背け、振り返る。すれ違い、行き交い、見返し、包み込む視線。まなざしの映画。 じぶんにとって、最高の映画監督(のひとり)である成瀬巳喜男の、最高の作品(のひとつ)である『乱れ雲』。『乱れる』の高峰秀子は濡れていなか…

あらくれの雨

成瀬巳喜男、といえば、雨。 ということを言っても、おそらく差し支えない。成瀬の作品においてドラマが展開するとき、雨音が聴こえてくる、軒先や窓の外を見ると雨が降っている、というシーンには枚挙に暇がない。だから、枚挙するのはやめておこう。成瀬を…

アニュータ、気をつけて

チェーホフ『アニュータ』(松下裕訳)より 「右肺は三つの部分から成っている……」と、クロチコーフは暗記する。「その範囲!上部は前胸壁で第四、第五肋間に達し、側面では第四肋骨に……背後はスピナ・スカプラエ(肩甲棘)に達する……」 クロチコーフはたっ…

デコちゃんとマキノの映画渡世(阿片戦争編)

吉屋信子の原作を石田民三が映画化した『花つみ日記』に、高峰秀子が女子生徒の役で主演している。当時15歳のデコちゃんは、既に子役として何本も映画に出演してきたベテラン女優さんだからだろう、さすがに同世代の少女たちに囲まれると、いくら年齢的には…

E.T. PHONE HOME, B GOOD

初めて映画館に行ったのは、小学生になるかならないかの頃だったか。 小さい頃の記憶はあやふやだけど、映画館で初めて見た映画が『E.T.』であることはたぶん確かだ。 その次に覚えているのは『南極物語』で、その次がちょっと時間があいて『天空の城ラピュ…

聴こえてる、ふりをしただけ

自分を守ってくれるひと、自分にとって大切なひとを失い、突然、世界に放り出されたとき、無防備なわたしたちはどうやって生きてゆくだろう?そして、子どものときにそういう経験をするということは、どんなことなのだろう? 精神科の看護師でもある今泉かお…