2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

妖術への病的な恐怖としての不安

アーサー・クラインマン『精神医学を再考する』(みすず書房)より。 マンソンと共同研究者[Manson et al. 1985]は、精神医学的な疫学研究と民族誌学的研究を組み合わせて、ホピ・インディアンの抑うつ状態(depressive illness)についての調査をおこなった。…

ゾムビィ・ダンス

久生十蘭の『復活祭』という短篇を読んでいたら、こんな一節が出てきた。 男と女の組が天上から糸で釣された操人形さながらに、死んだようなメロディにつれて千鳥足でよろけまわり、男と女が重なりあってぐったりと床にしゃがみこんだと思うと、起きあがって…

タクシー運転手あれこれ 〜2666、ライク・サムワン・イン・ラブ

(舞台はロンドン。フランス人、スペイン人のふたりの男、そしてその両方と関係をもつイギリス人の女が、タクシーに乗り込む。客はみな文学研究者) パキスタン人の運転手は、最初の何分間かは自分の耳を疑うかのように、バックミラーに映った彼らを黙ってみ…

青髭(bluebeard)談義

こどもの頃、絵本か何かで読んだ童話の『青ひげ』は、たしか、とっても怖かった。 青いひげを生やしたおじさん(お城在住)は、結婚をするたびに奥さんが行方不明になっていて、このたびまた新しい若い奥さんをもらいました。彼が住むお城には開かずの部屋が…

ポスト2666症候群

「ポスト2666症候群」 (1) 『2666』を読んだ後にこころにできた空洞を、他のどんな本を読んでも埋めることはできないこと。 (2) 約2kgの『2666』が入っていたかばんに他のどんな本を入れても、かばんが軽く感じられること。 約850ページの5部構成、現代のヨ…

第1回スローモーション会議(文体練習、温泉こんにゃく芸者、ソナチネ ビヨンド)

(沖縄、夜。短パンの男と短パンじゃない男の会話) 「東京どこ住んでんの?」 「中野」 「じゃあ、駅前のトミーって店、知ってる?」 「知らねえよ」 「結構有名なんだけどね」 「知らねえって言ってんだろ」 「・・・」 「・・・」 「あのさ、映画好き?」…

ごはん映画祭に『暴動・島根刑務所』を!

先日、山田五十鈴追悼特集で成瀬巳喜男の『鶴八鶴次郎』『芝居道』を見ながら、かつては成瀬であればその他に『歌行燈』『旅役者』、溝口健二の『残菊物語』、マキノ雅弘の『殺陣師段平』とそのリメイク(マキノ風に言うならリピート)『人生とんぼ返り』、…